Wilson, J., Mantovan, N., & Sauer, R. M. (2020). The economic benefits of volunteering and social class. Social Science Research, 85, 102368.
概要*ボランティア活動の経済的利益は社会階級(労働市場の状況の類似性によって定義される)によって決まるという理論を、1996年から2008年までに収集された英国家計パネル調査の7波のクロスセクションデータと固定効果モデルを用いて検証した。ボランティア活動は収入にプラスの効果があるが、それは専門職や管理職に限定されている。ホワイトカラーやブルーカラーの職業に就いている人は恩恵を受けていない。この研究では、これまでの研究で一貫性のない結果が得られたのは、ボランティアの職業的な異質性を考慮しなかったためではないかと示唆している。
結論*ソーシャルメディアの時代になって労働者の私生活に関する情報がより明らかになり、ボランティア活動のような活動が同僚や上司に観察され評価されるようになったからである(Rodell and Lynch, 2016)。このことを念頭に置いて、ボランティア活動と収益の関係に関連して、さらに調査が可能なトピックが他にもある。第一に、中等学校や大学でのボランティア活動が最初の仕事の地位や収入にプラスの影響を与え、それが後の人生での賃金や給与に有益な結果をもたらすという証拠がある(Astin et al., 1999; Ballard et al., 2018)。第二に、ボランティア活動は、中断した後(例えば、子育てのため)や失業期間があった後に、人々がより迅速に仕事に復帰するのを助けるという証拠がある。(Konstam et al. )いずれの場合も、ボランティア活動は労働市場への移動を容易にするため、より高い収益をもたらすはずである。
ボランティア活動が、自身の成長や、相手のためだけのものではなく、社会全体(労働市場)に貢献していると知って驚いた。ボランティア活動というもの、から得た資本を投資できる職業につける場合はとても意味のあることであると考える。しかし、ここでの主張は、ボランティアが置かれている階級が、ボランティア活動が生み出したかもしれない資産や資源の価値を決定するのに役立つということだ。結論は上記の通りである。しかし、中間的な職業についていることとボランティア活動をしていることとは有意ではないことや自営業が含まれていないというポイントにも注目したい。
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