Bruce Currie-Alder. "The state of development studies: origins, evolution and prospects." Canadian Journal of Development Studies 37.1 (2016): 5-26.
民主化、経済発展、法整備、社会構築、技術進歩、公衆衛生、インフラ、医療、、教育……
これらを一言でまとめてしまえる学問がある。
……そう、”開発学”だ!!
本論文では、そんな開発学の歴史と展望が紹介されている。
以下、その要旨を簡潔に記してみよう。
1.開発学の起源
その1:ヨーロッパの”開発”(18c)
絶対王政崩壊・産業革命が背景
イギリス・フランス(+アメリカ)を対象に、経済成長・自由主義についての研究が流行
その2:非ヨーロッパの”開発”(20c)
第二次世界大戦終結が背景
アジア・アフリカを含む全世界を対象に、経済再建・脱植民主義についての研究が流行
2.開発学の変貌
その1:理論自体の変化
国際開発論…先進国による他国(途上国)向け政策の効果に注目
国家開発論…途上国による自国(途上国)向け政策の効果に注目
グローバル開発論…各国(先進国・途上国問わず)の相互依存効果に注目
※現在では、3つの潮流を掛け合わせることで、それぞれの短所を補うようになった!
その2:理論→実証への変化
※研究自体が重要なのではなく、研究によって政策等の成果が出ることが重要
①研究機関の発展(≒政策実行組織の設立・参入)
昔:大学
今:大学、国際連合、各国支援機関(JICAなど)、その他団体(NGO/NPOなど)…
②研究環境の発展
昔:アナログ(書籍でのデータ利活用、Face to Faceな情報交換)
今:アナログ+デジタル(PCでのデータ利活用、電子空間での情報交換)
3.開発学の展望
その1.研究対象(モノ)のボーダレス化
政治・経済に関するトピック→あらゆるトピック(冒頭↑)
※開発の課題は、政治や経済だけに限られない!
その2.研究者(ヒト)のボーダレス化
学者のみ→学者、政策施行者、ビジネスパーソン、ボランティア…
※開発に携わるべき人は、学者に限られない!
…要は、吸収すべき知識や関わるべき人に限度を設けないことこそが、”開発”に携わる者に求められる心構えなのではなかろうか。
開発学は決して”雑多”な学問などではなく、”無限”の可能性を秘めたツールだ!
と胸を張って言いたいものです。
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