要旨
この論文では、
①BBBが防災分野の国際社会で中心的な概念になった経過を辿る
②BBBが意味することを再検討
③BBBの解釈と実践において国際社会と日本の立場に微妙な差異があることを指摘
④その差異こそが日本の防災対策の特徴を示す。
以上のことが述べられている。
感想
国際社会が共通の認識の上で自然災害への対応を組識的に考え、国際協力の目的にしたのは比較的最近のことであったのは大変驚いた。近年の大規模地震、津波の影響で、地球のどこかが必ず災害を受けているからである。そして実際に災害が起こると、途上国では貧困であるが故に住宅や社会施設が災害に対して脆弱であり、災害が起こればその復旧・復興が遅れてさらに貧困化が進む。この災害と貧困の悪循環を断ち切るためには、災害に強い住宅や施設をつくるための投資に資金を回すべきというのはその通りに思った。
とはいえ途上国は施設だけでなく生活する上での必需品も欠如している。どちらも満たされることが当然望ましい。そこで本論文ではBBBという「災害の復興段階において、次の災害に備え、より災害に対して強靭な地域づくりを行うという考え方。」概念の重要性を述べられていた。例えば、リスクの低い場所に住宅を建設することが挙げられる。そして、そのBBBが仙台では、東日本大震災という大きな災害が起きたにも関わらず、復旧の過程での建物の耐震化、土地区画整理を実施し、安全な街づくりを目指し成功した。こういったハード面での復興は世界でもトップレベルであった。しかし、ソフト面つまり生活、社会、経済、環境等の復興政策においては世界をリードできてはいない。
これより起きる可能性ある災害にソフトとハード面の対策が重要であると示唆している。
途上国への支援もこういったレジリエンスを整備する点も重要ということが今回分かった。
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