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途上国農村研究におけるフィールド実験の課題-国内農村経済の応用に向けて(2019年12月日本語論文)

高篠 仁奈.(2018)『途上国農村研究におけるフィールド実験の課題-国内農村経済の応用に向けて-』農林業問題研究 Journal of Rural Problems 54(1),15–23(2018)

本稿は,国内の農村研究への応用に向けた含意を示すという視点から,フィールド実験を用いた先行研究を整理し,実際の調査研究事例を通じて,実験を運営する上での実践的な課題を述べている.本項でのフィールド実験の定義は以下の通りだ.『フィールド実験とは,実験を用いて,政策の介入効果や,実験参加者の意識や選好(社会規 範やリスクへの態度など)の指標を測定する手法である 1.実験室で行うラボ実験と異なり,現実のフィールドにおける主体を対象とし,経済取引や社 会的な行動に関するデータも収集する点に特徴がある. 』また同時に自己バイアスや内生性の問題といった問題を排除することが可能である.実地実験の課題として,実験参加者の十分な理解と適切な実験環境の統制が必要となる.また,聞き取り調査員をとりまとめるカウンターパートとの信頼や良好な関係も重要になってくる.また,途上国調査の場合,調査票の入念な説明とペアでにシュミレーションを行うことでより一層調査への理解や調査パートナーとしての関係が構築されると述べる.

政策プログラムの効果を測定し評価する実験を「政策評価型」,個人的な選好指標を測定する実験を「選好測定型」と本稿は定める.後者の実験は国内農村の十家に取り入れやすく,特に被験者の教育水準が高い日本では活用しやすいと筆者は述べる.選好測定型,政策評価型,いずれにおいても農村での協力機関が実験実施に重要な役割を果たす.

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